「私は台湾人」急増、20代は8割 薄れゆく中国人意識

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台北=西本秀
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 台湾で、「自分は中国人ではなく、台湾人だ」と考える人の割合が急上昇している。台湾や香港に対する中国の強硬姿勢への反発に加え、新型コロナウイルス対策の成功が意識変化の背景にある。主な牽引(けんいん)役は、李登輝元総統が進めた民主化後に社会に出た若者たちだ。(台北=西本秀

 「民主先生(ミスター・デモクラシー)やすらかに」「自由と民主主義をありがとう」

 李氏の死後、台北市内に開設された追悼会場には2週間で4万人超が訪れ、出口に置かれた掲示板にメッセージを書き残した。訪問者は中高年層のほか、若者も少なくない。

 友人と訪れた張宸洸さん(27)は「僕らは選挙で投票でき、自由にデモができるのは民主化のおかげ。香港の状況を見て、当たり前だと思っていた台湾の民主主義の貴重さを再確認した」と話した。

 李氏は1996年の総統直接選挙の導入など、総統在任中(88~2000年)に民主化を推進。97年には中国本土の歴史を主軸にしたそれまでの社会科を見直し、台湾の歴史を学ぶ授業「認識台湾」を導入するなどの教育改革も進めた。現在20~30代の若者はその洗礼を受けた世代に当たる。

 地元の政治大学が市民にアイデンティティーを問うてきた調査では「自分は台湾人」と答える人が、96年の直接選挙の導入を節目に長期的な増加傾向を保つ。今年6月には前年比で8・5ポイント増え、過去最高の67%に達した。年代別では、20代が8割、30代も7割を超す。その半面、「自分は中国人」は過去最低の2・4%にとどまっている。

 同大選挙研究センターの蔡佳泓主任は「中国による統一圧力や香港弾圧に対する警戒感が影響している。今年は特に新型コロナ対策の成功で世界に注目されたことが、台湾人としての誇りにつながった」とみる。

地方で起きた「政変」

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