第3回立地対策は「潜水艦と同じや」関電元幹部が明かす手の内

有料記事原発と関電マネー 立地「工作班」の証言

室矢英樹 白木琢歩

 関西電力が石川県珠洲市の高屋地区で進めた原発計画。取材班が関係資料を集める中で、古い新聞記事に目がとまった。「原発用地取得 ゼネコン介在」。1999年10月11日付の朝日新聞1面にスクープ記事が載った。

土地取引、脱税事件で明るみに

 記事は、珠洲原発の予定地付近で土地の取得を進めた関電が、地元を離れた不在地主の土地の買収を大手ゼネコンに依頼し、ゼネコンの関係会社が間に入って土地を取得していたというものだ。端緒は東京国税局が横浜地検に刑事告発した神奈川県の医師の脱税事件だった。

 医師は大地主で、高屋地区で所有していた土地約10万平方メートルを94年までにゼネコン4社の関連会社に売却し、この取引で約4億4700万円の収入を得た。しかし、土地を担保に仲介業者から金を借りた形にして隠し、所得税など1億3300万円の支払いを逃れていたとされる。98年、国税局は関電を調査した。

 取材班は、珠洲立地事務所に当時勤務していた関電の元部長に当たった。兵庫県内にいた。

 「夕方の5時か6時ごろかな。わしが事務所にいたら、突然、国税の人間が入ってきた」。国税職員から「そのまま全員動くな」と言われ、令状を見せられた。「マスコミにかぎつけられたら困る。カーテンを閉めてから運び出してくれ」と頼んだという。

 元部長は、事務所にいた社員に目で合図し、稟議(りんぎ)書などを見つからないように隠させた。

京都や大阪で用地取得のイロハを学び、和歌山で原発計画に関わった元課長にもたどり着きました。原発計画の前線部隊「石川班」に投入され、金沢市内にあった事務所を拠点に活動したといいます。

「国税の狙いは何か、その時は…

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