プーチン氏の支持率が最低水準に、国民の意識変化とは?

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大野正美
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 プーチン大統領が20年間君臨してきたロシア政治の変調が止まらない。最大2036年までの大統領在任を可能にする憲法改正案への「全ロシア投票」で77・92%の賛成を得て国民の信任を取り戻したはずなのに、プーチン氏の支持率はかつてない低さのままだ。極東の拠点都市ハバロフスクでは、「全ロシア投票」直後の政権による野党系知事の強引な追い落としをきっかけに、大規模な反政権デモが始まった。新型コロナウイルス感染症の影響で経済も深刻な不振に沈んでいる。

 超長期政権を可能にする憲法改正案で高い支持を得て国民の信任を得たはずのプーチン・ロシア大統領の支持率が上がりません。その理由を、現在は北方領土を望む北海道根室市を拠点にロシアを見続けている朝日新聞元モスクワ支局長が、憲法改正国民投票の「奇妙なからくり」も含めて解説します。

改憲「賛成」77・92%、大統領支持60% 落差の理由は

 7月1日の「全ロシア投票」を受けて民間の世論調査機関「レバダ・センター」が同月24、25両日に行った調査では、「国は正しい方向に向かっているか」との質問に「そう思う」の答えは42%と、6月から1ポイント下がった。「思わない」は同じく1ポイント減の40%と、拮抗(きっこう)している。2014年3月にウクライナからクリミア半島を併合して以後の対外強硬路線が国民の愛国心を燃え立たせ、翌15年7月に「そう思う」が59%、「思わない」が23%を示した当時と比べると、国民の気持ちの冷め様がよくわかる。

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 この調査では、プーチン氏を…

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