安倍派事務局長、起訴内容大筋で認める 中抜きは否定 自民裏金事件

横山輝 植松敬

 自民党派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化したとされる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で在宅起訴された同派事務局長の松本淳一郎被告(76)の初公判が10日、東京地裁であった。事務局長は起訴内容を大筋で認めつつ、議員側が派閥側に納めず「中抜き」したパーティー収入の一部の不記載は「認識がなかった」と主張。公判で一部、争う姿勢を示した。

 現職国会議員3人を含む計10人が立件された一連の事件で公判が開かれるのは初めて。

 検察側は冒頭陳述で、安倍派では所属議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた売上金について、派閥から議員側に還流したり、議員側が中抜きしたりした上、一連の資金の流れを政治資金収支報告書に記載せずに裏金づくりをしていたと説明した。

 松本事務局長については2019年2月に同派の会計責任者となり、ノルマ超過分を収支から除外する運用を前任者から引き継ぎ、22年までの5年間の収支報告書に「虚偽の金額」が記入されていると認識しながら、計約13億5千万円の収支を記載しなかったと指摘した。派閥の幹部議員らは、収支報告書の作成に関与していないとも述べた。

 一方、事務局長は罪状認否で、中抜き分の収支約3億3千万円のうち、18、19年の約8千万円については「(派閥の)口座へ入金されていないものは認識していなかった」と主張。弁護側は、この部分の不記載については、故意性はなく犯罪は不成立だと訴えた。

 立件された10人のうち、安倍派では松本事務局長を除くと6人が裏金を受領した議員やその秘書ら。略式起訴された谷川弥一・前衆院議員(82)は有罪が確定。正式起訴された池田佳隆衆院議員(57)と大野泰正参院議員(64)は起訴内容を争う方針だが、初公判の日程は決まっていない。歴代の幹部議員の刑事責任は問われていない。

 二階派の元会計責任者は約3億8千万円分の虚偽記載罪で在宅起訴され、初公判は6月19日。約3千万円の同罪で略式起訴された岸田派の元会計責任者は略式命令が確定している。(横山輝、植松敬)…

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