「死ぬときお母さんと言った」戦火逃れた手紙、進む劣化

有料記事戦後75年特集

溝口太郎
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 戦場の農民兵士から一人の恩師に送られた7千通を超す軍事郵便戦後75年を経て傷みが進み、保存の難しさに直面している。展示施設はこの冬にリニューアルが始まることになったが、軍事郵便は金庫にむき出しの状態で保管されており、経年劣化の進行が懸念されている。

 敵弾飛び来る下で、故郷の便りを懐かしく拝見致しました

 (戦友を)すぐ手アテをしてやったけれ共、三十分後には死んでしまった

 死ぬときは一番先、お母さんと言った

 故郷への愛惜や仲間の死――。北上平和記念展示館(岩手県北上市和賀町藤根)の金庫内にある軍事郵便は、すべて地元の藤根小などで長年教師を勤めた高橋峯次郎(1883~1967)に宛てられたものだ。故郷の様子をつづった会報「眞友」を戦場に送り続けた峯次郎に、教え子たちが返信を寄せた。

 峯次郎が自宅にひっそりと保管していたものを、1980年代初め、地元の元中学校長らが見つけ、分類整理したことで全国に知られるようになった。

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