第7回断崖絶壁、宙に浮かぶ旧日本軍の陣地 発見はつい3年前
3年前の5月。北海道大樹町(たいきちょう)の当縁川(とうべりがわ)河口付近で、十勝総合振興局帯広建設管理部の河川パトロール中に、コンクリート製の人工建造物が見つかった。それは、太平洋戦争末期に造られた、旧日本軍の「トーチカ」だった。
ロシア語で「点、地点」を意味するトーチカは、軍事的に重要な場所を守るためコンクリートを固めて造った小型の防御用陣地とされる。町教育委員会によると1944年以降、米軍上陸に備えて道内に多くつくられたという。
戦後75年の間に海岸の浸食が進み、土中に築かれたものが崖から飛び出すように露出した。台形のような形をしており、幅約5メートル、高さ約4メートル、奥行きは約6メートルとみられる。ドローンで海側から近づくと、コンクリート壁に木枠の一部が残り、海岸線をにらむように四角い銃眼が開いていた。
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道内のトーチカを調査している日本建築学会北海道支部歴史意匠専門委員会の委員で、帯広市の小野寺一彦さん(62)は「この町では、今もどこかに戦跡が眠っている。当時を知る人がいなくなるなかで、どう伝えてゆくかが大事になってくる」と話す。
小野寺さんは「今後新たなものが現れても不思議はない」として、秋にもトーチカを探すワークショップの開催を検討している。
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