マレーシア元首相に禁錮12年判決 巨額の資金流用事件

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シンガポール=西村宏治
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 マレーシア政府系ファンド「1MDB」をめぐる巨額の資金流用事件で、クアラルンプールの裁判所は28日、背任など七つの罪でナジブ元首相に禁錮12年、罰金2億1千万リンギ(約52億円)の有罪判決を言い渡した。ナジブ氏はムヒディン現政権を支える中核政党の実力者だけに、ナジブ氏側が反発して与党連合の結束が揺らげば、政権運営が難しくなる可能性がある。

 マレーシアで首相経験者が有罪判決を受けるのは初めて。2009~18年に首相を務めたナジブ氏は、09年に自らが主導して設立した「1MDB」の資金を不正流用したなどとして、首相退任後に計42の罪で起訴された。

 今回の判決は、1MDBの子会社から約4200万リンギ(約10億5千万円)を自身の口座に移したとされる件についてで、一連の事件で最初の判決となった。弁護団は「資金はサウジアラビア王室からの寄付だった」などと無罪を主張したが、裁判官は「寄付だと公式ルートで確認されていない」などと弁護団の主張を退け、背任や資金洗浄など七つの罪すべてを有罪とした。弁護団は控訴する方針。

 1MDB事件は、1957年の独立以来となった一昨年の政権交代の大きな要因となった。ナジブ氏の不正流用疑惑が首相在任中の15年に明るみに出ると、ナジブ氏と同じ「統一マレー国民組織(UMNO)」に属していたマハティール元首相が厳しく批判。離党したマハティール氏は野党連合を率いて18年の総選挙を戦い、1MDB事件に対する国民の反発などを追い風に勝利した。

 マハティール氏は首相に返り…

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