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ウナギ稚魚、なぜ香港へ? 容疑者「割のいいバイト」

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国方萌乃 茶井祐輝
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 不漁で値上がり傾向が続くニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」。スーツケースに隠し、香港へ運び出そうとしたとして、大阪府警が29日、大阪府泉大津市の坪田利昭容疑者(59)や堺市北区の酒井正人容疑者(61)ら男7人を関税法違反の疑いで逮捕した。なぜ香港なのか。密輸ルートがあるとみて、府警が捜査している。

「ウナギロンダリング」とは逆ルート

 シラスウナギは体長6センチほど。太平洋のマリアナ諸島付近で孵化(ふか)し、黒潮に乗って日本や台湾、中国にたどりつくとされる。国内で流通している国産ウナギの99%は養殖だが、生態には不明な点が多く、卵からの完全養殖は難しい。海や川で捕れるシラスウナギを、養殖用の池に入れて育てている。

 シラスウナギの国内での採捕量はピークだった1963年漁期の232トンに比べ、ここ10年はその1割にも満たない。国際自然保護連合(IUCN)は2014年、ニホンウナギを絶滅危惧種に指定。日本、中国、韓国、台湾は、シラスウナギを養殖用の池に入れる総量の上限を設定した。養殖量を抑えることで捕りすぎを防ぎ、資源保護を図る狙いがある。

 ただ、国内の採捕量はそもそも上限(21・7トン)に届かず、15~20年漁期は上限の17~79%。不足分を輸入に頼っても上限を超えなかった。

 水産庁によると、養殖に使われた昨漁期のシラスウナギは、国内で捕れたものが3・7トンで全体の24%にとどまり、輸入が11・5トンで76%を占めた。貿易統計によると、輸入元はいずれも香港だった。

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 とはいえ、香港にはシラスウ…

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