「残念だが一部証券会社が」 金融庁トップ去り際の警告

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柴田秀並
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 投資信託を扱う証券会社や系列の運用子会社に、金融庁が厳しい目を向けている。低金利が続くなか、投信は老後資金づくりなど国民の資産運用に欠かせぬ商品。一方で、売る側が手数料稼ぎなどで高齢客へ損を与える事例も後を絶たない。遠藤俊英・前長官は20日の退任直前、顧客本位の販売を求めて証券業界へ「去り際の警告」を発していた。

 「残念ながら一部証券会社が、営業員主導で高齢顧客に外国株取引などを高頻度で繰り返させていた」

 7月14日の金融庁と証券界との定例意見交換会。非公開の場だが、関係者によると、遠藤氏はある大手証券を念頭にこう苦言を呈した。この会社は頻繁な米国株売買で収益を稼ぐ一方で、顧客に重いコストを負担させて相場が堅調なのに大きな損を与えていた。会社側は「最終的に顧客は納得していた」との立場だという。

 金融庁は近年、顧客の利益を尊重したサービス提供を業界に求めてきた。個人マネーが投資へ向かい、その果実が再び個人に行き渡る好循環をめざすためだ。

 「老後に2千万円必要」とした金融庁の報告書が話題を集めるなど、資産形成への関心は高い。短期売買ではなく、長期の視点で様々な商品に分散して定期的に積み立てる投資が大切になる。一方、株の売買手数料を収益源としてきた証券界は投信でも頻繁な売買へ走りやすい。

 投信販売改革のために金融庁が力を入れるのは、運用実態の「見える化」だ。

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 手数料の開示を促したほか…

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