子どもの7人に1人が貧困状態 18年調査で高い水準に

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田中瞳子 伊藤舞虹
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 2018年の子どもの相対的貧困率が13・5%だったことが17日、厚生労働省が3年ごとに発表する国民生活基礎調査でわかった。前回15年調査から0・4ポイント改善したが、依然として子どもの約7人に1人が貧困状態にあり、国際的に高い水準だ。

<相対的貧困率>世帯の可処分所得(手取り)などをもとに子どもを含めた一人一人の所得を仮に計算し、順番に並べた時、真ん中の人の額の半分(貧困線=18年調査では127万円)に満たない人の割合。子どもの相対的貧困率は、貧困線に届かない17歳以下の割合を示す。

 調査は3年おきで、今回は約3万2500世帯の所得を調べ、有効回答率は68・51%だった。

 子どもの貧困率は03年の13・7%から上昇傾向が続き、12年は過去最悪の16・3%だった。15年に続き2回連続の改善となるが、主に先進国でつくる経済協力開発機構(OECD)の平均12・8%(17年)を上回り、主要7カ国(G7)でも貧困率の低い順から5番目だ。OECDが15年に改定した新基準でみると、日本の子どもの貧困率は14・0%となる。

 全体の相対的貧困率は15・4%と、15年から0・3ポイント改善した。ひとり親世帯の貧困率も同2・7ポイント改善して48・1%と初めて5割を切ったものの、なお高水準だ。母子世帯の18年の雇用者所得は平均225万6千円で、全世帯平均の383万9千円を大きく下回る。

 一方、介護分野では、自宅で介護している世帯のうち、介護をする人もされる人も65歳以上の「老老介護」の割合は19年が59・7%と、16年の調査から5・0ポイント増えて過去最高となった。(田中瞳子)

母子家庭、コロナで打撃

 子どもの貧困率がわずかながら改善した背景には、景気拡大が調査時点の18年まで続き、給与収入を押し上げたことがある。だが、その後景気は腰折れしたとみられ、足元では新型コロナウイルスの感染が再び拡大。雇用が不安定なひとり親家庭の暮らしを追い詰めている。

 東京都墨田区で中学1年生の長女(12)を育てるシングルマザー(46)は、多い時で手取り25万円ほどあった月収が今春、12万円に落ち込んだ。印刷会社の正社員として働くが、大口の契約が見込める国内のイベントが相次いで中止されて業績が悪化し、残業が一律禁止になった。

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