福島)毎週火曜、パン屋は仙台から浪江へ 2年間ずっと
三浦英之
浪江町役場近くの仮設商店街「まち・なみ・まるしぇ」にとって、毎週火曜は特別な日だ。敷地の一角に小さなテーブルが置かれ、約20種計約100個のパンが並べられる。仙台市太白区のベーカリー「レピコロレ」の販売日だ。
小雨の中、6月下旬のある日は午前11時の開店前から約10人のファンが詰めかけた。南相馬市から買いに来たという男性(76)は「飽きの来ない味。懐かしいしね」。
長年、浪江町のショッピングセンター「サンプラザ」内で営業していた老舗ベーカリー「サン・メリー」は、原発事故で営業ができなくなった。2018年1月、避難先の仙台市で店名を「レピコロレ」と変えて営業を再開。同じ年の2月から毎週、浪江町へと通い、パンの販売を続けている。往復約3時間半。交通費を考えると、利益は「トントン」だ。それでも、昔ながらの味を待っているお客さんのためにパンを届ける。
店長の今井まゆさん(45)…