豪雨「2階に上がれたら…」遠かった避難所、逆転の発想

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東谷晃平 能登智彦 華野優気
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 2018年7月の西日本豪雨の被災地で、住民自身が参加し、災害時に避難所として使うことを意識した施設をつくる動きが相次いでいる。被災者が描く「理想の避難所」とは――。

 西日本豪雨で12人が犠牲になった広島県熊野町で、今年5月13日、「東部地域防災センター(仮称)」の新築工事が始まった。地上2階建ての建物は来春完成し、500人収容の指定緊急避難場所となる。かつて避難所としていた公民館は老朽化が進み、周辺が土砂災害警戒区域に指定されたため代替施設として5億円かけて新築。災害時以外は地域活動や防災教育に使う。

 理想の避難所とはどのようなものか――。町は豪雨4カ月後の2018年11月以降、住民とのワークショップを計6回開催。地元の高校や小学校でも、子どもたちが避難所に必要な設備などを議論した。

 その結果、最も重視する一つが「多様な人たちが快適に過ごせる空間づくり」だ。西日本豪雨では、赤ちゃんのいる家族やペット連れ、高齢者などさまざまな人たちが一斉に詰めかけた。コロナ禍の中で、感染が疑われる人のゾーンを分けることも重要になる。

 防災センターでは、授乳室がある「乳幼児世帯エリア」、屋外のテラスと隣接した「ペット同伴エリア」、個室にできる和室のある「特別配慮エリア」などをそれぞれ設ける。

 トリアージや物資の受け付けなどを想定し、「軒下空間」も広くとる。車いすの人のため、町特産の熊野筆をイメージした「一筆書き」のスロープを造る。

保護者が避難所に求めることは

 豪雨で12人が死亡し、300戸超が全半壊した広島県呉市天応(てんのう)地区。23年度の開校を目指し、天応小と天応中の小中一貫の義務教育学校の開設準備が進む。目玉は、災害時に避難拠点となる3階建ての体育館だ。

 敷地より数メートル高い国道…

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