豪雨が奪った父、生きていく罪悪感 あの言葉が変えた私

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能登智彦
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 2018年7月の西日本豪雨で、広島県呉市安浦町の高取久美子さん(43)は父の自営業良治さん(当時67)を亡くした。昨年の追悼式で市の遺族代表となり、「前を向いて生きていく」と力を振り絞って語り、大勢の被災者を励ました。その後、母の一美さん(当時72)も後を追うように病気で逝った。豪雨から間もなく2年。高取さんは2人の命を引き継ぎ、改めて前を向くと誓う。

 2年前の7月6日夜、高取さんは父と2人で自宅にいた。やまぬ雨。周囲一帯が停電。父は「危険だ。お前は家の中で避難の準備をしろ」と言って、車の準備に外へ出た。大量の土砂が流れてきた。暗闇で何度も「お父さん」と叫んだ。4日後、2キロ先のキャンプ場で父は遺体で見つかった。

 当時入院していた母の一美さんは父の死にふさぎ込んだ。高取さんは広島県東広島市の姉家族のもとに避難し、「自分が生き残ってしまった罪悪感」を引きずった。日々悩んだ。

 何事にも全力で打ち込んだ父…

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