迫る医療崩壊、怒るアフリカの医師ら 感染者30万人超

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ヨハネスブルク=石原孝 カイロ=北川学
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 アフリカ大陸での新型コロナウイルスの感染判明者が30万人を超えた。死者数は約8600人と欧米諸国よりも少ないが、医療・検査体制が整っていない国も多く、現場の医師らに負担が重くのしかかり、一部の国では医療崩壊の恐れも指摘されている。

 アフリカ連合によると、アフリカで感染が判明した人の数は日本時間の24日時点で32万4696人。南アフリカの10万6108人、エジプトの5万8141人、ナイジェリアの2万1371人、ガーナの1万4568人の順で多くなっており、この4カ国でアフリカ全体の約6割を占める。

 エジプトでは医療従事者の間にも感染が広がり、医師会によると24日時点で計91人の医師が感染の末に死亡。医師会は5月24日付の声明で「保健・人口省は多くのケースで、医師を保護することを怠った」と同省の対応を批判。防護服不足などで怒りを募らせる医師が増えているとし、「医療従事者の訴えを聞き入れないのならば、医療崩壊による惨事が全国で起きかねない」と警告した。

 アフリカ最多の約2億人の人口を抱えるナイジェリアでも、800人以上の医療従事者が感染。検査数は12万件弱にとどまり、北部の街では新型コロナが原因と疑われる不審死も相次いだ。公立病院の研修医らは防護服不足の解消や賃金アップ、労働環境の改善を求めて15日から1週間、ストライキに突入。医療関係者は「医療・検査体制が整っておらず、実際の感染者はもっと多い」とみる。

 感染判明者が525人の南部…

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この記事を書いた人
石原孝
ニューデリー支局長|南アジア担当特派員
専門・関心分野
アジアやアフリカの新興国・途上国の情勢