ネット中傷との闘い方 経験者2人が語る「ハードル」

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小川崇
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 匿名の誹謗(ひぼう)中傷に悩んでいたプロレスラーの木村花さん(22)が亡くなったことを機に、ネット上の中傷をめぐる議論が加速している。投稿がいかに過激で、発信者の特定が難しいか。ネット中傷と闘ってきた2人に取材し、経験を語ってもらった。(小川崇)

 「不正に学位取得」「今も研究費着服」

 2年前、サイエンスライターの片瀬久美子さん(55)=北海道函館市=は、自身のツイッターに向けたそんな書き込みを見つけた。

 当時、原発問題や政府の不正疑惑について、つぶやくことが多かった。複数のアカウントから反論が相次ぎ、中傷も始まった。投稿を放置すると執筆活動に影響を及ぼしかねない。弁護士に相談し、明らかに名誉毀損(きそん)に該当する書き込みを記録した。

 「意見論評ならいい。ただ、人権をめためたにする投稿は許せない」。約1カ月後、ツイッター社に発信者の情報開示を求める仮処分を申し立てた。書き込みを証拠として提示し、約1カ月で東京地裁から開示決定が出た。投稿者のIPアドレスがわかり、アドレスをたどるとネットのサービスプロバイダーも判明。被害届を受けた警察が、プロバイダーから投稿者を最終的に特定した。

警察対応や記録保存「運よかった」

 投稿者とみられる人物は埼玉県の60代男性だった。片瀬さんは昨年、慰謝料など260万円や謝罪文を求めて提訴。7月に請求はすべて認められ、判決は確定したが、最初の申し立てから約1年かかった。

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 片瀬さんのケースは、警察に…

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