経世彩民 伊藤裕香子の目
緊急事態宣言下の7週間、閑散とした東京の街では、店のシャッターや入り口に出された貼り紙が、日常の光景の一つにあった。
臨時休業や営業時間短縮のお知らせとともに、「もうひとこと」を添えた店もある。
「たくさんの応援の声に感謝でいっぱいです」「医療従事者をはじめ、多くの方々のご努力に深く感謝いたします」
昭和の雰囲気が残る駄菓子屋では、「皆さんの元気な笑顔に一日でも速くお会いしたいです」と、学校の休校が長引く子どもたちへの応援をつづった。お好み焼き店のお知らせには、鉄板で調理する写真とともに、大きな文字で「負けへんで 絶対ひっくり返したるっ」と書かれていた。
新型コロナウイルスという未知の感染症と突然の休業に戸惑いながらも、なんとかまた店を開きたい。心に届くように気持ちを伝えて、またお客さまに会いたい――。一つひとつの文章に、再開に向けたたくましさがにじむ。
「人の密集」続いた永田町
営業の自粛やステイホームが求められたほぼ同じ期間、「人の密集」が続いたのが、政治の舞台である永田町だった。一律10万円の特別定額給付金など、2回に及んだ国の経済対策をまとめるため、国会議員や官僚らは連日、コロナ前とほぼ変わらず出勤していた。
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国民の日々の生活や仕事を支…