寝屋川事件の死刑控訴取り下げ、高裁が改めて効力判断へ

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阿部峻介
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 2015年に大阪府寝屋川市の中学1年の男女2人を殺したとして、一審で死刑判決を受けた山田浩二被告(50)が取り下げた控訴の効力が争われた裁判で、最高裁第一小法廷(池上政幸裁判長)は、無効とした大阪高裁の判断を覆して審理を差し戻すとした別の高裁決定を支持した。17日付の決定。弁護側の特別抗告が棄却され、高裁が改めて取り下げの効力を判断することになる。

 山田被告は大阪地裁で死刑判決を受け、18年12月に高裁に控訴した。ところが、19年5月、勾留されていた大阪拘置所に控訴を取り下げる書面を提出。弁護人は「取り下げは無効」と申し立て、被告から事情を聴いて「本意でなかった」と訴えた。

 同年12月の高裁決定は、山田被告が看守とのささいないさかいから自暴自棄になって取り下げたとして、「死刑を受け入れようとの心情は全く見受けられない」と指摘。死刑の重大性や、死刑と無期懲役の判決については上訴を放棄できないという法の規定も踏まえて、「今回に限って無効とする」とした。

 検察の異議申し立てを受け、高裁の別の裁判官らが改めて検討。今年3月の決定は、控訴の取り下げを制限する規定はないと指摘。本人に意思決定をする能力や裁判を受ける能力がなかったと言えなければ無効にできないと述べ、この点に絞って審理をやり直すべきだと判断した。

 山田被告は同月、再び控訴を取り下げる書面を提出したが、弁護人がこれを無効とするよう高裁に求めている。この扱いを含めて、高裁が改めて判断する。(阿部峻介)

死刑事件の控訴取り下げ、論争になる理由は

 死刑事件での控訴取り下げをめぐっては、最近では相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で45人が殺傷された事件でも、植松聖(さとし)死刑囚(30)が控訴を取り下げ、弁護人が無効と申し立てている。論争になるのは、死刑が人の命を奪う究極の刑罰だからだ。

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 過去には最高裁が1995年…

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