生態系大切にしたい オーガニックな庭に込めた思いとは

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辻岡大助
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 横浜市内で造園会社を営む小島理恵さん(48)は、「オーガニック」にこだわった庭園造りを続けています。化学的な農薬や肥料に頼らない庭造りについて、小島さんは「自然は思い通りにならないと知る機会にもなります」と、その魅力を語ります。

記事の後半では小島さんのインタビューをお読みいただけます。

 アヤメ科のダッチアイリスがオリーブの木の下で紫を帯びた白い花を咲かせた。東京・六本木の複合施設「東京ミッドタウン」4階にあるフランス料理店「フィリップ・ミル 東京」の三日月形の庭園。新型コロナウイルス禍の緊急事態宣言を受けた臨時休業から6月1日再開した。庭園のすべての植物が有機栽培だ。飛び回るミツバチ科のマルハナバチを横目に、料理人が一角の菜園で食用花やハーブを摘む。採れたてが料理に加えられる。

 2017年の店の改装を控え、作庭を依頼された。ビル風が吹き、乾きやすい都心の街。地中海性気候を参考にして、乾燥や病虫害に強い約60種類の多年草を植えた。料理の彩りから庭園に目移りしないよう、春から夏にかけて次々に咲く花は落ち着いた色調の紫や白の品種を多くした。長短様々な形の葉は秋に茶色に染まり、越冬した根が次の春に新芽を出す。

大手造園会社を経て独立

 造園は「オーガニック」にこだわる。大学卒業後に入った大手造園会社で化学農薬を使う現場を回った。病虫害を防ぐ効果は大きかったが、益虫のテントウムシやカマキリまでも姿を消し、「自然環境をよくしたい」という高校時代からの思いとの間で葛藤を覚えた。「農薬で自分の健康にも不安を感じ、ストレスがたまりました」

 3年足らずで退社し、化学的な農薬や肥料に頼らないオーガニックな庭園造りの技を磨き始めた。37歳で独立し、横浜市内の造園会社「Q―GARDEN」の社長を務める。社員は他に同世代の女性1人だけだが、個人宅やマンションの庭、施設の緑地での業務には、植木や石組みの職人、フリーの庭師らがかかわっている。

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