復興を支えたイオンに別れ 「仮設団地の冷蔵庫だった」

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渡辺七海
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 熊本地震の被災者が暮らす仮設団地で、3年9カ月にわたって食品などを販売してきた「イオン益城テクノ仮設団地店」(熊本県益城町小谷)が6日、閉店した。町内の仮設住宅が木山仮設団地へ集約されるのに先立つもので、住民らは最終日、復興への道のりを支えてくれた店に感謝を込めて別れを告げた。

 熊本地震後にできた同団地は、一時は507戸1334人が入居した県内最大の仮設団地。当初は近くに店がなく不便だったため、県がイオン九州(福岡市)に要請し、2016年9月に同店がオープンした。

 約194平方メートルのプレハブづくりの店舗に、食料品や日用品がずらりと並ぶ。団地住民のみならず、近隣企業や隣接する同県西原村から買い物客が訪れた。2017年には月平均で8031人が来店。だが、被災者の生活再建に伴い、団地の入居者は年々減少した。20年の月平均来店者数は2881人にまで減った。同団地は9月末までに全員が退去する見通しだ。

 昨年3月から同店の店長を務めてきた谷英一さん(62)は、「団地という大きな家の中の冷蔵庫。そんなイメージでやっていました」と振り返る。他の店舗と比べ、客と店員の距離が近く、住民の顔やいつ何を買うのかも覚えられた。家からすぐ来られるからと一日に5、6回来店する人も居た。

 団地には、現在も41戸119人が残っている。「残った人のことを考えると、後ろ髪を引かれる思いです。一方で、多くの人の復興が進んでいるというのはうれしい限り」と話す。

 初代店長だった村島智浩さん…

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