2度の大規模障害、苦難の新システム移行 みずほの教訓

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聞き手=栗林史子
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 2002年と11年の2度にわたり大規模なシステム障害を起こしたみずほフィナンシャルグループ(FG)。旧銀行のシステムが併存したことが障害につながり、昨年7月、ようやく新システムへの移行を終えた。ビジネスにコンピューターシステムが導入されてすでに長い時間がたち、更新作業が必要な企業は多い。21年以上稼働している基幹システムの比率が25年に60%を超えるとの予測もある。今後相次ぐとみられるシステム更新にあたり、みずほの事例から得られる教訓はなにか。2月に刊行された「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史」(日経BP)の著者の1人、日経BP総合研究所上席研究員の大和田尚孝氏に聞いた。

 ――旧第一勧業銀行、旧富士銀行、旧日本興業銀行が合併してみずほ銀行が設立された02年4月1日、大規模なシステム障害が起きました。11年3月には東日本大震災での大量の義援金振り込みで障害が起きました。なぜトラブルが続いたのでしょうか。

 「それまでの経営陣がシステム刷新に必要な『カネと人』を確保していなかったつけだ。3行が合併した02年のシステムは、もともとあった銀行のシステムをそれぞれつないだだけ。古い二つのビルを通用口でつないだようなもので、起きうる問題は想定できたはずだ。しかし当時はまだ金融危機の余韻が残り、合併銀行同士の主導権争いもあった。システム障害の危険性は目に見えない。『専門の人に任せておけ』という時代で、経営陣が理解するのも難しかった」

 「3行が合併した02年4月1日の朝、内幸町のみずほ銀行でテープカットがあり、その後、大手町のみずほコーポレート銀行(当時)で、もう一度テープカットがあった。セレモニーはきっちりやっているのに、裏側ではATM(現金自動出入機)が操作できないという事態が起きていた。今のリスク管理なら考えられない」

 ――1度目の障害で問題を解決できなかったのでしょうか。

 「1度目の障害の後の報告書…

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