笑ったらアカン? なにわの寄席が再開 涙のファンも

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篠塚健一
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 コロナ禍で休止を余儀なくされた寄席が、ついに復活した。1日に動楽亭(大阪市西成区)が83日ぶりの再開。感染防止に気を配りつつ、ともに笑い、涙する生の高座が帰ってきた。

感染防止のために

 「安心して落語を聴ける状態を作る。政府のためじゃない。お客さんのためにやってんねん」。席亭の桂ざこばが所属する米朝事務所の社員は、午前から準備に取りかかりながらこう思いを口にした。

 お客は定員の3割の30人に制限。椅子は間隔をとって並べ、大阪府が導入した「大阪コロナ追跡システム」のQRコードも掲示。中入り休憩前にも換気の時間を作るなどして再開にこぎ着けた。

動楽亭昼席

6月の昼席は20日まで。2500円(当日のみ)。

 昼席の開演は午後2時。正午前には大阪府八尾市の訪問ヘルパー井谷桂子さん(48)が一番乗りした。「仕事は休み。今日から開くって聞いて、行きたくて」と声を弾ませた。開場を待つ列も密にならないよう立ち位置が指定され、マスク姿で検温、手指の消毒を済ませて会場に入った。

ざこば席亭「笑たらあきまへん、ツバが飛びます」

 久々の寄席は、ざこばの挨拶(あいさつ)で始まった。「笑(わろ)たらあきまへん。ツバが飛びます」。どことなく硬い雰囲気のなか、新型コロナウイルスを逆手に笑わせ、和ませる。マクラでコロナに触れる演者も多かった。「落語をみなさんの前で申し上げるのは当たり前ではなかった。非常に有り難いことやったんやなと思い直しました」(桂小鯛)

 仕事のなくなった状況をボヤいたりネタにしたり。中入り後に高座に上がった桂雀喜(じゃっき)は「基本的にコロナ前から自宅待機が多い芸人でございまして……ちょっと間隔が長いかな、ぐらいで」と自虐的に笑いを取った。

胸に響いた「子は鎹」

トリは米団治

トリを飾った米団治は「子は鎹」。久々の寄席、特別な思いで涙したお客さんもいました。

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 高座勘の鈍りをみじんも感じ…

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