コロナで家まで失う人々 支援の鍵は「ひとりにしない」
NPO法人「抱樸」理事長、牧師 奥田知志さん
新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちのくらしや社会を大きく変えました。直面する不安に、どう向き合い、乗り越えていけばいいのか。約30年前からホームレス支援を始めた牧師の奥田知志さん(56)に聞きました。
新型コロナウイルスは自然災害ですから感染者を選びません。しかし被害には格差が生じます。なぜなら災害時は、それまで社会が有していた脆弱(ぜいじゃく)性や格差が一気に拡大して露呈するからです。医療、教育、雇用の面でコロナによる様々な問題が噴出していますが、実はこれらはコロナ以前にあった矛盾が見えやすくなっているにすぎません。
おくだ ともし 牧師。約30年前からホームレス支援を始め、生活困窮者の居住・就労支援や子どもとその家族への学習・生活支援も展開する。NPO法人「抱樸」理事長のほか、全国居住支援法人協議会や生活困窮者自立支援全国ネットワークの共同代表も務める。
労働者の4割近くが非正規雇用。一部の人たちは会社の寮や派遣先のアパートに入り、景気が悪化して、派遣切りや雇い止めになった瞬間、仕事と共に住宅までなくしてしまいます。一時期は貯金などでしのげるかもしれませんが、リーマン・ショックの経験からしても、仕事と住宅を同時に失う人が数カ月後に多数出てくることを懸念しています。
失業率の増加に伴い、自殺者が増えることも恐れています。「コロナ関連死」が相次ぐ前に阻止しなければなりません。
私が理事長を務めるNPO法人「抱樸(ほうぼく)」は、今後増えるであろう生活困窮者を支援するためにクラウドファンディングを立ち上げました。目標額は1億円です。村上世彰氏が創設した「村上財団」からも、マッチング寄付として集まった寄付額と同額(上限3千万円)が上乗せされます。
主な使い道は、空き家を借り…
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