商店街のマスク露店、半月で消えた「利益ほぼなかった」

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黒田早織
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 新型コロナウイルスの影響でドラッグストアから姿を消した一方、意外な場所で見ることもあるマスク。「たくさん売っている」という話を聞いて先月末に川口市内を歩いたが、約半月後に再び訪れると状況は様変わりしていた。

 4月27日、JR川口駅からほど近い「川口銀座商店街」(川口市栄町3丁目)で紙に大きな「マスク」の文字を掲げた露店を見つけた。この日は雨だったが、「晴れの日は30メートルほどの間隔を空けて3、4店が並んでいる」と「店主」の男性が教えてくれた。

 男性は1級建築士といい、1月に2025年の大阪万博に伴う需要増を見込んで大阪に建築士事務所を移したばかりだったが、コロナ禍で仕事はほぼストップ。川口の自宅に戻ってきたという。

 手持ちぶさただった4月中旬、中国の事業者と取引がある商売仲間に中国から輸入したというマスクを分けてもらい、なじみの時計店前のスペースを借り、不定期に売った。価格は50枚入り3500円。「仕事もなく、これくらいしかやれることがない」

 翌28日には同じ場所で介護職の女性が大学生の息子と露店を構えていた。取材に、仕入れ先は夫の知人が経営する中国・福建省のマスク工場だと説明。価格は50枚3500円だった。1人当たりの購入数は制限せず、段ボール1箱まるごと買う人もいたという。「知り合いから仕入れたので品質も信頼できる」と話していた。

 5月15日に商店街を再び訪ねたが、露店は一つもなかった。4月の取材で会ったJR西川口駅近くの商店主(46)も販売をやめていた。「市中に出回ってきて個人が頑張って仕入れて売る必要もなくなった」。本業はマスクとは縁遠いが、4月上旬から2回に分けて5千枚を仕入れ、月内にネットと店頭で売り切った。販売価格は50枚3千円で仕入れ値は2千円超。利益はほとんどなかったという。

 日本衛生材料工業連合会の担…

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