「北方領土は我が国の主権」 外交青書、削除から一転

太田成美

 外務省は19日の持ち回り閣議で日本外交の概要をまとめた2020年版「外交青書」を配布した。ロシアへの配慮から昨年は「北方四島は日本に帰属する」との表現を削ったが、自民党などから批判され、今年は「北方領土は我が国が主権を有する島々」と記した。

 歯舞群島と色丹島の事実上の2島返還にかじを切るなか、4島が日本に帰属するとの明記を避けた形だ。そのうえで18年まで記していた「北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」との基本方針を復活させたが、4島が日本に帰属するとの前提を欠いた記述となっている。昨年は「領土問題を解決して平和条約を締結」としていた。

 北朝鮮については、日朝首脳会談の実現に向けて前向きな反応を引き出す狙いから「圧力を最大限まで高めていく」との表現を削除した昨年の流れを踏襲し、今年も「圧力」は使わなかった。

 青書は通常、前年1年間の国際情勢、外交関係を記すが、今年は年明けからの新型コロナウイルスの感染拡大への対応にも触れた…

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この記事を書いた人
太田成美
政治部|外務省担当
専門・関心分野
朝鮮半島情勢、日韓関係、ジェンダー