「私の大ファンではない」 トランプ氏、報復人事を乱発

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ワシントン=園田耕司
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 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、トランプ米大統領が政府の監察官を相次いで解任している。解任された人に共通するのは、政権に都合が悪い調査などに関与していることで、「報復人事」と受け止められている。

 トランプ氏は15日、国務省のリニック監察官を解任した。ペロシ下院議長あての書簡では「監察官は私が十分な信頼をもっていることが重要だが、この監察官はもはやそうではない」と記した。これに対し、民主党のエンゲル下院外交委員長は声明でリニック氏が「ポンペオ米国務長官を対象とした調査を開始していた」と明らかにしたうえで、「不法な報復人事であることを強くうかがわせる」と述べた。

 米政府内の各部署の監察官は独立して権力行使のあり方を監視する役目を担う。だが、トランプ氏が4月以降に解任をしたのは、4人目だ。

 最初に解任されたのは、情報機関のアトキンソン監察官。トランプ氏は解任翌日の4月4日に会見で「極めてひどい仕事をした。恥ずべき人物だ」と強く批判をした。怒りの原因は、アトキンソン氏が昨年8月、トランプ氏の「ウクライナ疑惑」に関する内部告発を受け、議会に伝達したことだった。

 監察官は内部告発を受けて「信用性がある」と判断した場合、議会に伝達するのが役割だ。アトキンソン氏は職務を遂行しただけだが、この伝達がきっかけとなり、トランプ氏は下院から弾劾(だんがい)訴追を受けたことに怒りが収まらず、「彼は私の大ファンではない」として処分した。アトキンソン氏は「大統領の判断に落胆し、悲しみを覚える」という声明を出した。

 また、4月7日には新型コロナ対策をめぐり2兆ドルの大型経済対策を監視するファイン国防総省監察官代行を解任。5月1日には、新型コロナの感染者を調べるための検査機器が「極めて不足している」と指摘した、米保健福祉省のグリム監察官首席代理の職を解いた。

 更迭や解任は元々、トランプ氏の政権運営の特徴だ。米シンクタンク・ブルッキングス研究所の調査によれば、大統領補佐官など65の要職は政権発足以来、5人中4人以上が離職。1980年代のレーガン政権以来、最高の離職率だ。

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 ウクライナ疑惑の弾劾裁判が…

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