親しみやすい物語性と社会性を兼ね備えた具象絵画で知られる、日系ブラジル人2世でニューヨーク在住の画家・大岩オスカール(54)が、コロナ禍の街の様子や社会を描いた絵画を自身のウェブサイトで公開している。人のいなくなったタイムズスクエアあり、制作の場である自室あり。「時代の記録であり、自分のストーリーでもある」と語る。
大岩は、3月半ばからマンハッタン島のマンションにほぼ閉じこもった生活をしている。制作の拠点となるスタジオまでは地下鉄で5駅だが、混み合った電車を避けたくて、ほとんど足を運べていない。家族以外とはほとんど会わない生活を続けている。
スタジオに行けない代わりに、大型のタブレットを使い、黒一色で描かれた絵画を制作。「デジタルドローイング」として14点を、短い作品解説とともに自身のウェブサイト(http://www.oscaroiwastudio.com/oscar_website/pages.html/quarantine.html)で発表している。
最初に登場するのは、一部空想も交えた、上海や大阪の風景だ。今年の秋、大阪でのグループ展に参加する予定で、その準備のために、3月に日本や中国を訪れるつもりだった。だが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止になったという。
ニューヨークにも感染の波が来る前から、波にのみ込まれてしまった後まで、「今の自分の状態を描こうと思った」という。「時代の記録であり、自分のストーリーでもあります。5年後、10年後には、2020年の出来事は歴史になる。その中での、自分のドキュメント、記録です」
かつて東京で暮らしていた1…