社会も医療もペストが変えた 人類の歩みに感染症あり

有料記事今さら聞けない世界

聞き手・坂本進
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 新型コロナウイルスが世界で猛威をふるっています。人類はこれまでも、感染症と闘ってきた長い歴史がありました。こうした経験の中で生まれた言葉の一つが、英語で隔離や検疫を意味する「quarantine(クアランティン)」。イタリア語の「40日」という言葉が由来です。

 なぜ「40日」なのか――。その歴史をひもときながら、過去の感染症と比べた今回の新型コロナの特徴などについて、「人類と感染症の歴史」の著書がある元国立感染症研究所室長の加藤茂孝さん(78)に話を聞きました。

――隔離や検疫という意味の英単語の由来が、イタリア語の「40日」なのは、なぜでしょうか?

 中世のイタリア・ベネチアに話はさかのぼります。14世紀の欧州では、感染症のペストが大流行していました。当時の人々は、地中海を行き来していた船がペストを運んでくるということを大体理解していて、船が港に到着しても、40日間は港の外に待たせて、船の中の様子を観察しました。

 そこから40日間、船を港から隔離させる感染症対策を「40日」(quaranta giorni)と呼び、英語で隔離や検疫という意味のquarantineになりました。

――今の疫学的な観点から見て、この検疫は有効だったと言えますか?

 人と人との接触を断つのは感染症対策の基本で、今でも変わっていません。そういう意味ではとても理にかなっていました。

 古代から感染症は人から人にうつるということが、大体はわかっていました。人の交流を断てば、病は広がらないんじゃないかという経験的な知識があり、中世の欧州では船から港に上陸させない。これが成功したと言えます。

――それでも欧州で人口の5分の1から3分の1が犠牲になったとされています。なぜでしょうか?

 14世紀のペスト大流行の背…

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