「弱いところに嫌がらせ」感染公表、指さされた生徒たち

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聞き手・見崎浩一
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 郡山女子大学(福島県郡山市)では3月中旬、大学に無届けで海外旅行に出かけた教授の新型コロナウイルスへの感染が発覚した。卒業式は中止され、大学や系列高校などに非難や嫌がらせが相次いだ。未知なる事態への対応とともに、心を痛めたこの1カ月余りについて、関口修学長(79)が振り返った。

 ――70代の女性教授=任期満了で3月末退職=が感染した。県と市の会見の直後、大学としても記者会見を開き、キャンパスの封鎖や卒業式の中止を発表した。当時の判断は。

 「公教育を担う大学として説明責任がある。コロナ感染者が出たことで地域社会を不安にさせてしまうだろうと考え、建物封鎖や卒業式中止などを決めた。卒業式を4日後に控え、卒業生は晴れ着など準備して楽しみにしていただろうが、本当に申し訳なかった」

 「卒業式をするはずだった当日、晴れ着姿の学生たちが大学の正門で写真撮影をしたり、付属高校の教員に会いに行ったりしていた。学びの最後の節目をきちんとしてやれなくて、涙がこぼれてきた」

 ――感染した教授がエジプト旅行に出かけていたのを知ったのは。

 「感染の第一報に驚くとともに、『どこで』と尋ねたら『エジプトで感染した可能性がある』と。大学に無届けで海外旅行に出かけていたことをこの時に知り、真っ青になって『冗談じゃないよ』という気持ちになった」

 「届け出ルールは、教職員が出張先や旅行先で何かトラブルに遭ったとしても大学として責任をもって対応し、教職員を守るべく組織として機能するために作った規則。中国でコロナ感染が広がってから教職員には海外渡航を控えるなり、帰国後に自宅で健康観察をするなり大学としても注意喚起をしていただけに、無断で休み、海外に行っていたのは寝耳に水だった」

 ――記者会見の意に反して翌日から大学や付属高校など学園関係者に嫌がらせや不当な扱いが始まった。

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