コロナ禍で注目「アマビエ」 熊本の妖怪ではなかった?

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今井邦彦
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 外出自粛やイベントの延期・中止など、新型コロナウイルスの感染拡大は社会に大きな不安を与えている。そんな重い空気の中、ネット上である妖怪が注目を集めている。江戸時代末に出現し、「疫病が流行するので、私の姿を描いた絵を人々に見せよ」と告げたという「アマビエ」だ。この妖怪、現れたのは肥後(熊本県)の海だとされるのだが……。

 福岡市天神の喫茶ギャラリー「サナトリウム」で3月19~31日に開かれた「アマビエ展」には、ツイッターで作品を公開しているプロ、アマチュアの作家によるアマビエのイラストや立体作品が展示された。思い思いにアレンジされた妖怪の姿は、ちょっとグロテスクなものから、西洋の人魚を思わせる美しいもの、キュートなゆるキャラ風のものまで様々。「ツイッターにすごい数のイラストが上がっているのを見て、出展を呼びかけたところ、会期末までに75点の作品が集まった」と、自らも立体像を出展したギャラリー館長で立体造形作家の角(すみ)孝政さんはいう。

 アマビエは江戸時代の1846年、肥後の海に光る姿で出現し、調査に来た役人に「私は海に住むアマビエというものだが、これから6年間は豊作が続く。しかし疫病も流行するので、私の姿を描いた絵を人々に見せよ」と言って去ったという。それを報じるかわら版(京都大学付属図書館所蔵)には、長髪に鳥のようなくちばし、うろこに覆われた胴、3本の足または尾びれ、という姿で描かれる。

 ヤフーのリアルタイム検索で「アマビエ」を含むツイート数を調べると、3月1日には28件だったのが、4日に1千件を突破。この動きに反応した複数のネットニュースが記事で紹介した8日には一気に2万件近くに上昇し、ピークの15日は約4万6千件に達した。有名なマンガ家やイラストレーターによる作品の発表も話題になった。

 妖怪マンガの大家・水木しげるの作品でも、アマビエは熊本県の妖怪として紹介されている。地元では、アマビエはどれぐらい知られているのだろうか。妖怪に詳しい熊本大学鈴木寛之准教授(民俗学)に聞くと、「熊本には、アマビエに結びつく伝承は残っていないようです」と意外な返事が返ってきた。肥後の海に現れたという話は、かわら版や新聞によって他地域で広まったという。

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 実は「アマビエ」という妖怪…

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