欧米では、スポーツ選手が大きな組織に声を上げる姿が珍しくない。東京五輪・パラリンピックの延期を渋る国際オリンピック委員会(IOC)への厳しい非難もあった。一方で、日本の選手や団体は、決定に従う姿勢が目立つ。何が違うのか。元陸上選手の為末大さんと慶応大学教授の鈴木透さんに話を聞いた。
「プロ選手、今こそ声を」 為末大さん
今回の延期は、アスリートが導いたと思っています。国際オリンピック委員会(IOC)は、延期を求める選手の声で動いた。ただ、開催国の日本からは、選手の声がほとんど上がらなかったように思います。
背景は三つあると思います。
一つ目は、自国開催で、各国の選手を迎える立場でもあったこと。自治体や競技団体、スポンサーなどの利益も複雑に絡むため、やらないほうがいい、とは簡単に言えない。参加するだけではない「オリンピックムーブメント」に、選手が組み込まれていた面はあります。
二つ目はそもそもの国民性の違い。欧米に比べ、日本や中国、韓国など、アジア圏の選手はあまり声をあげていません。アスリートに限らず、国際的に声をあげる日本人、あまりいないですよね。
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そして、三つ目は、選手がリ…