広島)被爆塀の撤去始まる 保存調査に活用も

核といのちを考える

宮崎園子
[PR]

 広島県が一部解体の方針を打ち出している被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(広島市南区爆心地から約2・7キロ)で、建物北側の被爆塀の撤去工事が始まった。現存する4棟の赤れんが倉庫と同じ素材のため、県は一部を切り出し、倉庫本体の今後の保存に向けて強度などを調査する。

 建物北側の敷地には広島南署が移転してくる予定。その敷地西端の塀は一部改築がされているが、1913年の被服支廠の完成当時からあるとされ、被爆もしている。県財産管理課の担当者は「警察署の移転前にいずれ壊さなければならないが、解体したものは有効に活用したい」と話す。

 4月中旬にかけて高さ約3メートルの仮囲いを外側に設置。塀の複数箇所で数十センチ角を切り出し、加圧をしたり工具を入れたりして強度を調べる。一部は保存のために残す方針。

 被服支廠の保存を訴える男性は「被爆遺構の解体であることに変わりない。被服支廠が議論の的になっている中で解体するのはいかがか」と話している。(宮崎園子)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

核といのちを考える

核といのちを考える

被爆者はいま、核兵器と人類の関係は。インタビューやコラムで問い直します。[もっと見る]