WHOの「パンデミック」認定、慎重姿勢を転換した理由

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ジュネーブ=吉武祐 編集委員・田村建二
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 中国で最初に新型コロナウイルスの感染が確認されてからわずか3カ月で、感染者は114の国・地域の計約11万8千人、死者4291人(11日現在)にまで広がった。世界保健機関(WHO)は11日、世界的な流行を意味する「パンデミック」と認定した。急速に広がる世界的な流行をふまえ、各国に対策の強化を訴えた。

 新型コロナウイルスをめぐり、WHOはパンデミックという表現を使うことに慎重だった。テドロス事務局長は常々「今、必要なのは恐怖でなく、連帯だ」と訴えており、パンデミックと呼ぶことで必要以上の恐れやパニックを招きたくないとの思いをにじませてきた。

 今回、姿勢を転換したのには二つの理由がある。

 一つは、認めざるをえない感染の急速な広がりだ。中国で新たな感染が下火になり、封じ込めに自信を持ち始めたころ、イタリア、イランなどが他国への感染拡大の起点になり、移動の自由が大きい欧州では感染者が出た国が一気に増えた。感染者がいない国も臨戦態勢をとる状態になり、外部の専門家からは既にパンデミック状態だとの指摘も出ていた。

 パンデミックと認めない姿勢を続ければ、危険な現状に目を背けていると受けとられ、国際機関として信用を失いかねなかった。

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 もう一つは、各国の対策強化…

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