月桂冠も大関も獺祭も… 海越えて「地酒」を造る事情 

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中島嘉克 金井和之
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 熱かん、冷酒、カクテルにも使える。そんな多彩な日本酒人気が海外で高まっている。立役者のひとつが京都の老舗・月桂冠(げっけいかん)。30年前に米国に工場を建て、食卓に「SAKE」を定着させてきた。それに続けと現地生産に挑む酒蔵も登場。世界の和食ブームも追い風となり、海外発の「地酒」が次々と生まれている。

メイド・イン・USA

 ワインの産地で有名な米カリフォルニア。肌寒い1月上旬、州都・サクラメント近郊の大型リカーショップ(酒店)を記者が訪れると、日本酒が棚いっぱいに並ぶコーナーがあった。

 「GEKKEIKAN SAKE」のボトルを手に取った高齢の白人男性が「家でよく飲むよ。ホットも、冷たいのも。妹の家族も好きだよ」と話しかけてきた。1本750ミリリットル入りで市場価格は6ドル前後(約670円)。このお酒、月桂冠が米国で仕込んだ「メイド・イン・USA」の製品だ。

 工場は店から近い住宅街にある。敷地には日本庭園が広がり、その脇に発酵用のタンクが立ち並んでいた。工場に入ると、大柄な米国人男性が蒸し米を手にとって仕上がりを確認していた。酒のできばえを左右する大事な作業だという。27人いる従業員の大半は現地採用。米国月桂冠のビル・パイパー副社長は「みんな、ここで一から日本酒造りを学んだ」と話す。

 パイパーさんも20年ほど前にビール会社から転職した。酒造りのかたわら、工場見学の案内もする。工場では試飲会や、すし教室も開き、日本酒の普及に努めてきた。レストランで飲む「特別な酒」からの脱却をめざし、地元のスーパーで買えるよう営業も重ねた。「まずは興味をもち、味を知ってもらうことが大切」

 その成果もあって生産量は順調に伸び、今は年約6千キロリットル、一升瓶で330万本分超をつくる。豊かな風味の純米酒は各国で評判を呼び、欧州や南米、韓国にも輸出。国際的な品評会で入賞もしている。

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 月桂冠が米国生産に乗り出し…

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