命名前の子に番号付す国 行政にどこまでデータ委ねるか

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大津智義 タリン=牛尾梓
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シンギュラリティーにっぽん

 大量のデータを活用しようとするのは、GAFA(ガーファ)などの民間プラットフォーマーだけではない。「快適な暮らしにつなげよう」と、住民の生活データに着目する行政機関も登場している。行政主導の「データ連携」の動きに、問題はないのか。(大津智義、タリン=牛尾梓

シンギュラリティー:人工知能(AI)が人間を超えるまで技術が進むタイミング。技術的特異点と訳される。そこから派生して、社会が加速度的な変化を遂げるときにもこの言葉が使われ始めている。

 福島県会津若松市の猪俣富栄さん(62)は今年から、肌身離さず腕時計型のウェアラブル端末を身につけるようになった。歩数のデータがスマートフォンのアプリを通じて蓄積される。

 2年前に定年退職。ひざや腰に痛みを抱えているが大きな病気はない。趣味で始めた卓球を週4日、楽しむ。いまの関心は「もっと健康になりたい」。朝昼晩と1日3回、端末をチェックしている。

 データは市と協力するデータ分析会社ARISE analytics(アライズ・アナリティクス、東京)が実施する実証実験に使われる。アプリには、歩数に応じて増える「青べこ」や「赤べこ」がアニメーションで流れる。

 猪俣さんを含めた21人が参加。国民健康保険の加入者が対象で、市の健康診断の結果や、どんな病気で何の薬が処方をされたかが分かるレセプト(医療機関からの請求書)といった個人のデータも市から入手。5年以内に「脂質異常症」「高血圧」「糖尿病」になる確率を本人に知らせる。

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 会津若松市は、市民から提供…

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