再びの「全国」へつなげた軌跡、気づかいと勇気で5年ぶり九州大会金賞(奏でるコトバ、響くココロ)

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沖縄県立那覇高校(上)

優気

 2020年度の全日本吹奏楽コンクールで、九州支部の高校の代表枠が前年までの3から4に増える。とはいえ、全国11支部の中で最多の八つの県で構成され、強豪がひしめく九州支部から全国大会に出場するのが狭き門であることに変わりはない。

 那覇市の中心部に位置し、観光スポットの国際通りや壺屋やちむん通りからそう遠くないところにある沖縄県立那覇高校は、吹奏楽部が全国大会に過去3回出場した古豪である。最後に出場したのは1988年、30年以上も前のことになる。

 真冬でも太陽と真っ青な美しい海がまばゆい。自然と都市、伝統と国際性が共存する那覇の街で、那覇高吹奏楽部の部員たちは「吹奏楽の甲子園」を目指して練習に励んでいた。

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 那覇高の2019年度の部長は、チューバ担当の鈴木凛(りん)。本土と違って鈴木という名字の部員は少なく、みんなから「スズキ」と呼ばれる。大きな声と元気がスズキの取りえだ。

 スズキが投票で部長に選ばれたのは1年生の秋のことだった。那覇高ではそのタイミングで次期部長を選び、1年かけて先代の部長の働きぶりを学び、2年生の秋に正式に部長デビューするのだ。

 1年生のときの顧問は、かつて県立コザ高校を全国大会に導いた池間洋幸だった。ところが、スズキが次期部長に選ばれて2年生になったとき、池間は異動し、顧問が高江洲奈(たかえす・だい)に代わった。高江洲は那覇高吹奏楽部のOBだったが、部員たちはすぐに高江洲の指導になじむことができなかった。

 スズキにも戸惑いはあった。部員たちが「池間先生ロス」を感じる気持ちも理解できる。しかし、高江洲が自分たちを理解し、一緒に新しい部活を作っていこうとしているのも感じていた。

 「まだ高江洲先生に抵抗のある人たちもいるけど、私はなるべくフォローに回って、部活がまとまるようにしていこう」

 スズキは次期部長として先生と部員の双方に心を配り続け、部員たちも徐々に高江洲に心を開いていった。

 その年、那覇高は九州大会に進み、銀賞を獲得したのだった。

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