英総選挙、保守党が過半数を獲得 EUからの離脱決定的

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ロンドン=下司佳代子 ヨーロッパ総局長・国末憲人
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 英国が2020年1月末に欧州連合(EU)から離脱することが決定的となった。12日の下院総選挙(定数650、小選挙区制)で、離脱を唱えるジョンソン首相の与党・保守党が、過半数の365議席を獲得した。ただ、離脱後のEUとの通商協議は難航し、長引く可能性もある。

 離脱派が勝利した国民投票から3年半、曲折を経験した英国民はEUを去る手続きを進めることを選んだ。保守党はサッチャー政権下で圧勝した1987年以来、最大の得票を記録。ジョンソン氏は13日午後、官邸前で「離脱を成し遂げるという負託を受けた。1月末までに実行する。3年半の不毛な議論をここで整理し、癒やしを始めようとみんなに求めたい」と語った。

 政権の離脱方針はこれまで、議会で何度も否決されてきた。改選前の保守党は過半数に満たない298議席にとどまったからだ。

 政権は、離脱の実現には保守党の単独過半数の確保が不可欠だと判断。野党から解散総選挙の実施に同意を取り付け、保守党の全候補から政府方針に従うとの誓約をとった。ジョンソン氏は「離脱を終わらせよう」と繰り返し、政治停滞に対する国民のいらだちをうまくすくった。年内にも離脱に向けた法案を議会に提出し、来年1月末に離脱したい考えだ。

 一方、労働党は改選前の243議席から大きく後退し、203議席と惨敗。離脱支持者が多いイングランド中・北部の伝統的な地盤を保守党に奪われた。コービン党首は「次の総選挙は党を率いない」と述べ、党首を辞任する意向を示した。英国からの独立を党是とする地域政党スコットランド民族党は35議席から48議席に伸長。自民党は改選前の21議席から11議席に後退した。ただ、EU残留寄りの労働党と自民党の得票率を合わせると、保守党の得票率に匹敵する。

 BBCによると投票率は67・3%。約100年ぶりとなる冬の選挙が影響したとみられ、前回17年の総選挙より1・5ポイント低かった。(ロンドン=下司佳代子)

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■解説・分断深め、引き返せぬ…

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