ICBMちらつかせる北朝鮮 迫る米朝交渉期限に圧力か

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ソウル=武田肇 ワシントン=園田耕司 ニューヨーク=藤原学思
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 北朝鮮の非核化をめぐる米朝の交渉が停滞するなか、交渉期限を年内だと主張する北朝鮮が挑発的な行動を重ねている。8日には国防科学院の報道官が、北西部の平安北道(ピョンアンブクト)東倉里(トンチャンリ)の西海衛星発射場で「非常に重大な実験」を成功裏に行ったと発表。米国に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)用のエンジン試験との見方が出ている。

 報道官によると、実験は7日午後に行われた。詳細は明らかになっていないが、米ミドルベリー国際大学院モントレー校不拡散研究センターのジェフリー・ルイス博士は衛星写真を分析した結果、ミサイルのエンジン試験が行われた可能性があるとの見方をツイッターで示した。

 韓国の慶南大極東問題研究所の金東葉教授も、ICBM発射のエンジン燃焼試験だとの見方を示し、「固体燃料のエンジン試験」の可能性を指摘した。北朝鮮がICBMの発射で使ってきた液体燃料と比べ、固体燃料は短時間で発射が可能になり、奇襲性が高まるとされる。

 北朝鮮は今月に入ってから、他にも米国を刺激する行動を重ねている。3日には外務省高官が、「近づくクリスマスのプレゼントに何を選ぶかは米国次第だ」と主張する談話を発表。翌日には、朝鮮中央通信金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が軍馬に乗って中朝国境の白頭山に登ったと報道し、今月下旬には朝鮮労働党が中央委員会総会を開き、内外の「重大問題」を決定すると伝えた。白頭山は北朝鮮にとって象徴的な場所で、指導者が登った際は重大な決定をするとされる。

 また、7日には金星(キムソン)国連大使がニューヨークで「非核化はもはや交渉のテーブルから消え去った」とする声明を発表。従来の対話路線からの転換を示唆した。

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 背景にあるのは、米朝交渉の…

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