「貴重な植物」守り後世へ ナショナルコレクション制度
米山正寛
植物にまつわる思い出を持つ人は多いのではなかろうか。ところが、もう一度見たいと願ったとき、それがこの世から消えているということは、あっても不思議ではない。そんな事態を避けようと、日本で栽培される貴重な植物を守りながら後世に伝える「ナショナルコレクション」の認定制度が、日本植物園協会によって動き始めた。
◇
美しい花や葉を愛(め)でるため、これまでに多くの植物品種が誕生した。江戸時代の日本で多彩な園芸文化が花開いたことは、海外でも知られている。
だが、古い品種が消えていくこともしばしばだ。17世紀末ごろの江戸で著されたとみられるツツジの解説書『津ゝし絵本』には395品種が掲載されている。そこには現在まで伝わる品種もあるが、「南京絞(なんきんしぼり)」「美女つつじ」など多くは現存しない。赤い実が美しい常緑小低木のヤブコウジ(紫金牛)は明治時代に大流行し、品種名を記載した名鑑なども出回った。でも当時のほとんどの品種は消えてしまった。
「時代に合わなくなっても遺伝資源としての価値は残る。消えてしまいかねない植物を何とか保全したい」と岩科司・日本植物園協会会長は訴える。そこで2017年にナショナルコレクションの認定制度が始まった。
ここから続き
同協会でナショナルコレクシ…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら