大嘗祭「政教分離に違反」 キリスト教系、なぜ孤軍奮闘

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編集委員・藤生明

 14、15日に大嘗祭(だいじょうさい)が予定され、天皇の即位行事が大詰めだ。神道と関わりが深い諸儀式を国事行為・公的行為としたことは、憲法違反に当たらないのか。日ごろ、閣僚の靖国神社参拝には「政教分離原則に違反する」と批判を欠かさない仏教、新宗教の関係団体はほぼ沈黙。キリスト教団体の抗議だけが際立つ。

 「違憲の天皇の即位儀式・大嘗祭に抗議する」。12日、キリスト教関係者が東京で会見し訴えた。

 集まったのは日本キリスト教協議会(NCC)と日本福音同盟、カトリックに所属する牧師、神父ら。会見前には、反対署名を首相あてに提出した。署名文には「即位諸儀式は神道儀式。国事行為、公的行為とすることは国民主権、政教分離、憲法尊重の義務に違反する」とつづってあった。

 カトリックの太田勝神父は「大嘗祭は極めて宗教的な儀式。明治憲法下で現人神(あらひとがみ)とされた天皇像を想起させる」とし、関与する政府を強く批判した。そして、戦時下の信者に対する弾圧について語った。「特高警察から『天皇とイエスはどちらが偉いのか』と問われ、『イエスだ』と答えた結果、迫害され、土地を追われた事例が多々ある」

 戦後、「信教の自由」「政教分離」を堅持するための取り組みは、戦時下の弾圧を経験した新宗教、キリスト教、仏教の諸派が共闘してきた。旧憲法が信教の自由を明記しながら、政教分離規定がなかった歴史を教訓にしている。

 運動で絶えず問題となったのが、東京・九段の靖国神社だ。日本遺族会などが神社を国の管理に戻そうとする「国家護持運動」や、首相らの靖国公式参拝では、NCCや新日本宗教団体連合会が抵抗の中心になった。

 ところが、皇室がらみになる…

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