安全対策で割高懸念の原電 それでも電力会社が支える訳

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桜井林太郎 伊藤弘毅 川田俊男
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 東京電力ホールディングス(HD)が28日、日本原子力発電(原電)の東海第二原発茨城県)への資金支援を正式に決めた。東電は「経済性や再稼働に向けた対応の進捗(しんちょく)状況などを総合的に勘案した」というが、再稼働の地元同意を見通せない中での「見切り発車」となった。福島第一原発事故を起こし、実質国有化された東電が他社の原発を支援することにはとりわけ批判が強く、東電には説明責任が求められる。

 「競合社に値付け戦略をさらけ出すことになる。お答えできない」。東電HDの永沢昌・常務執行役は28日の会見で、電力小売りが全面自由化され販売競争が激しくなっていることを理由に、東海第二から買う電気の価格水準などについて一切答えなかった。

 一方で、「本当に経済合理性を考えて判断している」と強調した。だが、原電から買う電気はかなり割高になるとの懸念が出ている。

 NPO法人の原子力資料情報室が原電の有価証券報告書を分析したところ、東日本大震災前の売電価格は1キロワット時あたり11・74円(2005~10年度平均)。「原電のこのころの純利益は年15億円程度で、値下げの余地はほとんどない」(松久保肇・事務局長)。これに原電が公式に認めている東海第二の当面の安全対策工事費とテロ対策施設の建設費の計約2350億円の回収分などを上乗せすると、同14・5円程度になると試算する。

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