ドスが利いた悪女の演技、尾野真千子は「美」を意識する
真野啓太
悪を表現しているからといって、悪に賛同しているわけではないし、まして悪人とも限らない。そんなことはわかっていても、尾野真千子の悪女の演技はドスが利いていて、本人も怖い人なのではと思ってしまう。舞台あいさつで見かけるときはいつも、快活な笑顔を見せているのに……。どちらが本当の姿なのか? おそるおそる、確かめに行った。
苦労したある「しぐさ」
座敷の薄闇の中、腰を下ろした和装の女が、不敵な笑みを浮かべている。
そんな尾野の姿にゾワッとさせられるドラマが、落語の怪談ばなしを映像化した「令和元年版 怪談牡丹(ぼたん)燈籠(どうろう)」(BSプレミアム、日曜夜10時)だ。とある武家に仕える侍女、お国を演じる。お家乗っ取りをくわだてている、悪女の役だ。
普段の姿とのギャップに驚く。記者会見やバラエティー番組では、共演者と和気あいあいとしている。連続テレビ小説「カーネーション」(2011年度後期)で演じていたヒロインの姿そのままだ。
どうやって悪女を演じているのか。尋ねたら、サラッと切り返された。
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「悪くなるのは簡単なんです…