台風19号による豪雨で千曲(ちくま)川の堤防が約70メートルにわたって決壊した長野市穂保(ほやす)地区では14日朝、堤防の仮復旧の作業が進められた。重機が波消しブロックを急ピッチで投入。付近の道も大きく崩落していた。
住宅側に流れ込んだ川の水量は減りつつあるものの、付近は泥でぬかるんだ状態。軽トラックや物置小屋は濁流で押し流され、リンゴ園の木々にへばり付いていた。付近には泥だらけのリンゴが転がっていた。上空には、警察や自衛隊のヘリコプターが飛び交い、救助活動や状況の確認が続けられた。
決壊場所のすぐ裏にある母(89)の家の様子を見に来た塚田祥文さん(63)は、家の中を見渡し、ぼうぜんとした表情を浮かべた。庭にはひざの高さぐらいまで泥が残り、家の壁には約150センチの高さまで水が来た跡が残っていた。「あーあ……。こんなのどうやって片付けたらいいだろう。こんなこと、ひとごとだと思ってたよ」
泥をかき分けて自宅にたどり着いたという男性(32)は「うちが……。うちが……」と言葉を失った。玄関はどこからか流れてきたリンゴの木でふさがっていた。隣に立つ父母の家には、知らない車が流れついていた。周りを見て、つぶやいた。「これは、ダメだな……」
国土交通省千曲川河川事務所によると、ポンプ車で泥水を排水する作業が夜通し続けられてきた。ただ、水が深くたまっている部分も依然として残っているという。
一方、冠水して孤立状態が続…
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