水原容疑者、どのように量刑決まるのか 銀行詐欺罪に問われた意図は

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聞き手・藤原伸雄

 米大リーグのスター、大谷翔平選手の通訳だった水原一平容疑者が、違法賭博にからんで大谷選手の口座から大金をだまし取ったとして、銀行詐欺容疑で訴追されました。水原容疑者は5月14日(米国西部時間)に連邦地裁で開かれる罪状認否を前に、検察との間で有罪を認めることに合意しました。米国で30年近く、さまざまな事件を手がけてきた鈴木淳司弁護士に、今回の事件の法的な意味や今後の流れについて聞きました。

 ――「銀行詐欺罪」とはどんな罪なのでしょうか?

 連邦刑法では、銀行詐欺罪の前条に「通信詐欺罪」があります。検察が財産犯罪に対してよく適用する罪です。「詐欺」(fraud)という言葉が使われていますが、郵便や電子通信を手段として、他人の財産を奪う罪です。SNSや電話で人をだまして金品を得たら通信詐欺罪になりえます。

 通信詐欺罪の次の条文(合衆国法典第18編第1344条)が銀行詐欺罪です。通信詐欺罪と同様の建て付けですが、「銀行をだます」という点で加重されています。銀行口座の所有者になりすますなどして送金を頼んだり、振り込み指示を出したりした場合、日本では窃盗や詐欺に問われるのが一般的ですが、米国の連邦検事は、重罰の銀行詐欺罪で追及することが多いです。

 今回の事件で、水原容疑者は大谷選手をだましたということなので通信詐欺の適用も可能です。ただ、仮に水原容疑者が「私はやっていない」と無罪を主張した場合、通信詐欺罪だと大谷選手自身が法廷に出てこなければならない。こうした公判に時間を取られることは、大谷選手もドジャースも大リーグ機構(MLB)も、そして検察も望んでいなかったでしょう。銀行詐欺罪ならば、証人は銀行の人が来ればいい。

 ――なぜ、水原容疑者は違法賭博の罪には問われないのですか。

 5年ぐらい前に、日本の国税…

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