経済インサイド
コンビニエンスストアやスーパー、ドラッグストアなど、様々な場所で売られるペットボトル飲料。長く続く定番商品がある一方、登場してすぐに消えていく商品もあります。定番が大きなシェアを占める市場に挑む開発担当者は様々な知恵をこらし、売り込みを図っています。緑茶の「お~いお茶」で知られる伊藤園が、ライバルがひしめく紅茶飲料で挑んだ戦い。あるマーケティング担当者の苦闘の日々を追いました。
初日でダメなら「棚落ち」も
なかなか梅雨が明けなかった前月から一転、厳しい暑さが続いた8月7日の朝、黒岡雅康さん(40)は落ち着かない気持ちで東京都渋谷区の伊藤園本社に出勤した。
黒岡さんは紅茶ブランド「TEAs’TEA(ティーズ・ティー)」のマーケティング担当。自身が手がけた新商品「生オレンジティー」の販売データが初めて出る日だ。
その日は水曜日。大手飲料・食品メーカーで新商品を手がけるマーケティング担当はみな、この「水曜日」に緊張する。
飲料の主要販路のコンビニに新商品が並ぶのは原則として火曜日。その日の販売状況がどうだったか、という「成績表」がそろうのが水曜日なのだ。
全国清涼飲料連合会によると、2018年の清涼飲料業界ではリニューアルも含めて1100余りの新商品が発売された。その半分近くがペットボトル飲料だ。
生き残る商品は一握り。とくにコンビニでの競争は激しい。労力をかけた商品でも、初日の売り上げがふるわないと1カ月後には「棚落ち」になり、二度と店頭に並ぶことがないこともある。
「生オレンジティー」は、小売店のバイヤーや営業部門からも好感触を得ており、伊藤園の紅茶部門では10年ぶりのヒットになると期待されていた。
紅茶3強のすき間
黒岡さんは02年に伊藤園に…
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