GM復活、でも長引く全米スト 仕事同じなのに待遇差

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デトロイト ローズタウン=江渕崇
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 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)を舞台に、全米自動車労組(UAW)が起こした全米ストライキが3週目に入った。米金融危機後の経営破綻(はたん)から10年。ようやく安定して稼げるようになったが、将来の不確実さはむしろ増している。長引くストは、米自動車産業のそんな現状を映し出す。

 GMとUAWは4年ごとに労働協約を改める。9月14日の期限までに合意できず、約4万8千人の組合員が15日深夜、約50拠点でストを始めた。全国規模のストは米国で12年ぶりだ。

 「GMが稼げるようになったのは働き手のおかげ。応分の報いを受ける番だ」

 米デトロイトの工場前でストに加わっていたショーン・クロフォードさん(37)は訴える。リーマン・ショックがあった2008年に入社したが、GMは翌年に破綻。約500億ドル(約5兆円)の公的資金で米政府が救済した。

 高い賃金に、手厚い医療保険と年金――。UAWは高コスト体質の象徴となり、働き手は様々な待遇悪化をのまされた。新たに導入した「2階級賃金」で、クロフォードさんは危機前に入社した先輩の半額の時給14ドルが何年も続いた。

 あれから10年。米新車市場の回復と、もうけの大きい大型車ブームでGMは復活。前回労働協約を結んだ15年以降、毎年100億ドル(約1兆円)規模の税引き前利益を稼げるようになった。バーラ最高経営責任者の18年の報酬は年2200万ドルだった。

 その分け前が、働き手には十分回ってきていないとの不満がUAWにはある。

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