ビットコインから10年 サトシの仮想通貨ついに正念場

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渡辺淳基
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シンギュラリティーにっぽん

 仮想通貨(暗号資産)は世界金融危機の経験をへて、テクノロジーが国家に代わって信用を担保する可能性を示した。技術者たちが夢みた「お金を民主化する」試みから10年余り。「新たなお金」は今、次のステージを迎えようとしている。渡辺淳基

シンギュラリティー:人工知能(AI)が人間を超えるまで技術が進むタイミング。社会が加速度的な変化を遂げることを指すこともある。変化に伴って「見えないルーラー(支配者)」も世界に現れ始めている。

「人間より信用できる」

 かつてレーニン像が共産主義国家を象徴していた広場に昨年、新たな主役が登場した。ウクライナの首都、キエフの中心部で空席になっている台座にスマホをかざすと、「サトシ・ナカモト」が現れる。

 「世界を変えた男だ」。サトシをイメージしたAR(拡張現実)のアプリを作った会社の共同創設者、アンドレイ・モロズさんはこう語る。現金自動出入機(ATM)や市場での決済など、仮想通貨関連のサービスが広がるこの街には、サトシを英雄視する人も多い。

 サトシは2008年、仮想通貨ビットコインを提案する論文をインターネットに公開した発明者の仮名だ。日本人かどうかも含めて正体は今も不明だが、その考えは世界中のプログラマーに支持され、世界初の仮想通貨が誕生した。

 中央銀行などが発行する法定通貨と違い、ビットコインには発行者がいない。裏づけとなる資産もない。紙幣や硬貨といった「実体」もない。では、サトシは何にビットコインを託したのか。

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 それは、ブロックチェーン(…

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