地元でできぬ受験 英語民間試験、離島の生徒に重い負担

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 2020年度から始まる大学入試改革で、離島やへき地に住む高校生は特に大きな影響を受ける。大学入学共通テストで活用される英語の民間試験を、地元で受験することが難しいためだ。文部科学省は「不利益の解消を目指す」としているが、現状では効果が乏しく、不安の声が上がっている。

 東京都立神津(こうづ)高校は、人口約1900人の神津島村にある。全校生徒数は49人。2年生16人のうち、大学進学を希望する11人が共通テストを受ける予定だ。

 しかし、共通テストで活用される7種の民間試験はいずれも、島内で受けることができない。このため、受験する生徒は本土まで行くことになりそうだ。

 東京都港区の竹芝埠頭(ふとう)までフェリーだと約10時間、ジェット船でも約3時間半。交通費や宿泊費、受験料をあわせると最低でも約2万円かかる。民間試験は高3の4~12月に2回まで受けることができるが、2回受験すれば、費用も倍になる。

 これまでも、大学を受験する同校の生徒は本土に泊まり込んで試験を受けてきた。国公立を志願する場合は、1月中旬の大学入試センター試験と2月下旬から始まる2次試験に合わせて、少なくとも2回は渡航が必要で、私立大も受ける場合はさらに増える。悪天候で船の欠航が予想される場合は、早めの出発も必要だ。受験のため、30万円かかった家庭もあるという。

 都内の国立大を志望している同校2年の松江こころさん(17)は、民間試験について「東京に行くのが2回増える。船や飛行機の欠航も心配だ」と語る。私立の短大を志望する2年の貫井の乃さん(16)は、「母子家庭できょうだいもいる。お金がかかりすぎるのは困る」と話した。

 民間試験が導入されたのは、英語の「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測るためだ。同校で英語を教える栗原智之教諭は「4技能の試験には賛成だ」としたうえで、「民間任せにせず、国が責任をもって、遠隔地でも実施できる公平な仕組みを作ってほしい」と求める。

 英語の民間試験をめぐっては…

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