突然のがん宣告、池江の姿から勇気 米の金メダリスト

有料記事がんとともに

光州=清水寿之
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 突然のがん宣告。再発の恐怖におびえるなか、白血病と闘う池江璃花子選手の姿に勇気づけられ、プールに戻ってきたスイマーがいる。競泳男子自由形の米国代表、ネイサン・エイドリアン選手(30)。21日に韓国・光州で行われた水泳世界選手権の男子400メートルリレー決勝でアンカーを務め、チームを金メダルに導いた。首から下げたメダルを強く握りしめ、言った。「競泳は僕の帰るべき場所。がんのことを忘れさせてくれる」

 100メートル自由形や400メートルリレーなどで北京五輪から3大会連続で金メダルを獲得しているエイドリアン選手。世界屈指のトップスイマーである彼が今年1月、自身のインスタグラムに入院中の写真を投稿し、精巣がんと診断されたことを公表した。

 体調がすぐれずに何げなく病院へ行ったら、検査を繰り返されたという。「医者から『あなたはがんだ』と言われる準備が出来ている人なんて、いない」。早期発見だったことが、不幸中の幸いだった。

 米メディアによると、手術は2度に及んだ。以前は8時間以上の練習を日課としてきたが、手術後は数週間、15ポンド(約6・8キロ)以上の重さの物を持ち上げないよう医師から指示を受けた。スープの入った缶を頭上に持ち上げて体がなまらないよう工夫したが、筋肉は落ち、体重が5キロ以上も減った。

 深刻だったのは、心の傷だ。当初は再発の不安を考え出すと、悪い想像が止まらなかった。音楽などを聴きながらでなければ眠りにつけなくなった。何度も夜中に目覚め、涙があふれた。

 ちょうどそのころ、白血病で…

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