命がけの砂漠越え、物乞いのため アフリカ最貧国の現実

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編集委員・大久保真紀
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 西アフリカにあるニジェールは、世界最貧国の一つだ。子どもを多く産むことが社会的な美徳とされ、20年後には人口が2倍になると予想される。一方、増える人口に経済発展は追いつかず、気候変動の影響で農地もやせている。次々と生まれてくる子どもたちはどう生活し、どのような課題と直面しているのか。28日から横浜市で始まる第7回アフリカ開発会議(TICAD7)を前に、日本ユニセフ協会の視察に同行して現地を訪ねた。

 「もう二度と行きたくない」

 西アフリカ・ニジェール南部のエルダワ村に住むウゼイル・ハブさん(15)は、視線を落としながらつぶやいた。

 昨年、母(40)に頼まれ、サハラ砂漠を越えて隣国のアルジェリアへ向かった。目的は、物乞いをして稼ぐことだった。

 一家は極貧の生活を強いられていた。父親は焼き鳥を売る店の手伝いをしたり、雨期の間に畑でゴマやヒエを作ったりするが、定職はない。食事は夜に1回、トウモロコシの粉をこねた物を食べるだけ。「それも、いつも食べられるわけじゃない」

 母は、アルジェリアとの間を行き来していた、近所のアブという男に息子のウゼイルさんを託した。交通費として、借金で工面した4万CFAフラン(約7200円)を払った。

 ウゼイルさんたちはバスでニジェール北部へ向かい、途中でトラックに乗り換えた。15人ほどを乗せたトラックは、サハラ砂漠を走った。どこで国境を越えたか、わからない。

 しかし、目的地に到着する前、警察の摘発を恐れた運転手が突然トラックを止め、ウゼイルさんたちは砂漠の中に放り出された。灼熱(しゃくねつ)の太陽の下、飲む水もない。

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 「死ぬかと思った」…

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