在日韓国人留学生「スパイ」でっち上げ 文大統領が謝罪

武田肇

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は27日、韓国が独裁政権下にあった1970~80年代に多数の在日韓国人の留学生らが韓国の情報機関によって「北朝鮮のスパイ」にでっち上げられて拘束された人権侵害に言及し、「独裁権力の暴力に深く傷ついた在日同胞の被害者と家族に、大統領として国家を代表して心から謝罪する」と述べた。韓国大統領が在日の元政治囚をめぐる人権侵害で謝罪するのは初めてとみられる。

 文氏はこの日、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に参加するため大阪市に入り、在日韓国人約400人を招いた懇談会に出席し、その席上で謝罪した。懇談会には、70年代にソウルの大学に留学中に北朝鮮のスパイなどとして当時の韓国中央情報部の拷問捜査を受け、死刑判決を受けながら2015年に無罪が確定した大阪市の在日韓国人、李哲(イチョル)さん(70)らが招かれた。李さんは「思いがけないことで、大変うれしく思いました」と話した。

 韓国の市民団体によると、87年の民主化までに情報機関は多数の在日韓国人の留学生やビジネスマンらを「スパイ」として摘発。被害者は約160人に上るとされる…

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この記事を書いた人
武田肇
高松総局次長
専門・関心分野
原爆・平和、韓国、北朝鮮、歴史認識、差別と人権、鉄道